多動性障害について    
                   
 

幼稚園、保育園、小中学校に通っている子供たちの中で、注意欠陥多動性障害 ADHD と言う脳の病気があることが知られるようになりました。

この病気は、人は主に脳の前頭葉と呼ばれる、額の奥にある脳の部分で、目や耳から入ってくる情報や過去に学習したことを総合して、将来のことを予測しながら、時には現時点の欲求を抑えつつ、目的を持った行動をとろうとします。

ところが、何らかの原因でドパミンやノルエピネフリンなどの、脳の細胞どうしの連絡に必要な物質のアンバランスが生じると、この前頭葉の働きが低下して、行動や感情がうまくコントロールできなくなると言う説と、環境ホルモンや脳アレルギーが、原因の一部と言う説があります。

ある統計によると、3〜5パーセントの子供に、 ADHD が認められます。

この障害を持った子供に必要なのは、教師と親の連携で、「たたかない」「言葉で傷つけない」「愛のメッセージを送る」

「その子の能力や長所を見つけて、それをほめる」「自信を持たせる」「達成感を感じる経験をさせる」「指示は具体的に目で見てわかるようにしてあげる」などです。

この子供たちは、現状のニーズにあった、公的支援制度が整備されていない状況の中で、さまざまな問題を投げかけています。

このように、制度のはざまにいる子供たちを、私は、あえて、「居場所のない子供たち」と表現します。

そこで問題なのは、「居場所のない子供たち」は、幼稚園や保育園に入園し、小中学校に通っているのです。

そして、この子供たちは、「問題児」と言うレッテルをはられて、本人の性格や親のしつけの悪さや、教師の指導不足として、今まで片付けられていました。

その結果、いじめや、不登校、非行、家庭内暴力につながっていくケースが、存在しているのです。

この障害の一番の問題は、子供にありがちな行動のために両親が気づかないのです。

先ほど述べたように、幼稚園や保育園、又小中学校においても問題のある子供として、親や教師が障害を認識しないところにあります。

当然、先生方は集団の中での保育や教育を行うので、このような子供がいると学級崩壊が起こってくるのが現状です。

最近、発達障害者支援法が制定されました。

国の取り組みとして、発達障害者支援体制整備事業・自閉症・発達障害支援センター運営事業・発達障害者普及啓発事業・発達障害関係職員研修会の実施・専門性の確保と専門医の養成という5項目からなっています。

この5項目の国の取り組み方としては、都道府県に実施委託し、都道府県がそれを受け市区町村を指定し、モデル事業として行っております。

そのモデル事業の対象に 台東区 は入っていませんが、さきの、子育て支援特別委員会で、 台東区 の保育園・幼稚園の現状が報告されました。

その報告の内容は、配慮を必要とする園児は、145人で、全園児の4.2%になっています。

その中で、診断したことのある子供は47人で、残りの98人は診断を受けていません。

もう一つの、データーは、配慮を要する子供の年齢別のデーターです。

0歳児は 0 %、 1 歳児は1.75%、2歳児は1.59%、3歳児は4.41%、4歳児は、4.60%、5歳児は5.57%となっています。

つまり、この数字は子供の成長に伴い、子供の行動が活発になっていくので、配慮を必要とする子供を見つけることが出来るのだと思います。

また、小中学校では、平成 18 年 1 月に 台東区 特別支援教育検討委員会がまとめた、「 台東区 における特別支援教育のあり方について」の中間のまとめの中で、平成17年7月のデーターとして、学習面だけで著しく困難を示す児童・生徒が、小学校で 41 人、0, 6 %、中学校で 8 人、0.3%。行動面だけで著しい困難を示す児童・生徒が、小学校で 49 人、0.8%で、中学校で 11 人、0.5%。学習面、行動面ともに著しい困難を示す児童・生徒は小学校で 40 人、0.6%で、中学校で5人、0.2%です。

この数字を合計すると、小学校で 130 人、中学校で 24 人になっています。

このうち、通級指導学級に通級している児童、生徒は、小学校 21 人で、中学校にはいません。

また、医師等の診断を受けている児童生徒は、小学校で 32 人、中学校で 5 人です。

そのデーターの上に立って、 台東区 における特別支援教育のための基本方針として、今までの「特殊教育」が果たしてきた役割や機能を十分に踏まえたうえで、障害のある子供たちの教育をめぐる諸情勢の変化に対応するとともに、 LD や ADHD 、高機能自閉症等の児童・生徒に対する教育支援を行うために、 1 、個々の児童・生徒のニーズに即した教育を実施する。2、学校における支援体制の整備を推進する。3人材の確保・育成を図る。4、保健、医療、福祉等関係機関との連携を推進するという、 4 つの柱が高々と歌え上げられています。

しかし、「特殊教育」の延長線の対応で、いいのでしょうか?

また、特別支援教育の枠の中で、この、「居場所のない子供たち」に対して、障害の枠に、はめた教育ではたして、いいのでしょうか。

また、発達障害者支援法にある、発達障害関係職員研修の実施は、小中学校の、校長を始めとした教職員に行っているのでしょうか。

おこなっているとしたら、現場でどのように生かされているのでしょうか。

また、特別支援教育に歌われた 4 つの柱はどこまで進んでいるのでしょうか。

現場では、毎日のように、子供との戦いが続いているのです。中間のまとめだからまだ審議している最中などと言う悠長な時間はないのです。教育長の答弁をお聞かせ下さい。

この子供たちは、集団生活に不向きな側面を持っているので、問題が当然のように起こります。

保育園や幼稚園、又小中学校で問題を起こせば、それが、父兄を巻き込んだ大きな問題となります。

そこで、現場の対応は、専門医に通う指導をしたり、介助員をつけて対応したり、専門的な学校に転校を示唆したりします。

しかし、親は、自分の子供が障害であると認識しないのが現状です。

そんな状況ですから、その子供に必要な方策が取れないのです。

実は、今回の質問をするにあたって、この 2 つのデーターを見つけるのに苦労をしました。

一つは、区民部の子育て支援課にあり、もう一つは、教育委員会です。

議会の委員会では、子育て支援特別委員会と区民文教委員会です。

この二つのデーターは、本来一つでなければ意味のないデーターだと私は思います。

幼稚園・保育園でどう保育するかとか、小中学校でどのように教育するかというデーターではなく、一人の子供をどう育てるかという考えに立ったなら、教育委員会が中心になって、各所管を取りまとめて、この問題に取り組まなければ、「居場所のない子供たち」の行き場がもっともっとなくなっていきます。

この問題に立ち向かう教育長の姿勢をお聞かせください。

あえて、教育長の答弁をお願いしたのは、幼稚園や保育園の子供は、必ず、小中学校に行きます。小中学校に行けば、この子供は、幼稚園や保育園と同じ問題を続けて、おこします。その問題は、年とともに大きな問題になるのです。

そして、集団からはじかれて、「居場所の無い子供たち」になってしまうのです。

教育長の誠意ある答弁を求めて、次の質問に入ります。

 

「教育長答弁」

木下議員の特別支援教育と発達障害者支援法についてのご質問にお答えをさせていただきます。

教育委員会では、今年度、「 台東区 における特別支援教育の在り方について」、学識経験者などによる検討委員会を設置し、検討を重ねてまいりました。先月その「中間のまとめ」が取りまとめられ、現在、それについて区民の皆様方から、ご 意見をいただいているところでございます。

最初に、発達障害のある児童・生徒に対しても今までの特殊教育の延長線でいいのかというご質問についてでございます。

教育委員会といたしましては、中央教育審議会の答申にも示されているとおり、これまでの特殊教育の枠組みの下で培われてきた教育水準や教員の専門性が維持・向上できることを充分に踏まえたうえで特別支援教育を推進することが必要であると考えております。

 その中で軽度発達障害児に対しましても、特殊教育には無かった専門家チームによる支援など、新たな支援策を図ることで、適切な教育的支援をしてまいりたいと考えております。

次に、発達障害者を障害者と位置づけた教育でいいのかというご質問についてでございます。

特別支援教育の中では、軽度発達障害児を含め、心身に障害のある児童・生徒を単に「障害のある児童」という捉え方ではなく、特別な支援が必要な児童・生徒と位置づけ、個々のニーズに即した教育的支援を行うこととしておりますので、よろしくお願いをいたします。

次に、教職員等、関係職員の研修についてでございます。

特別支援教育に関しましては、既に平成15年度から各小中学校の校長をはじめ、学校内において中心的な存在となる特別支援教育コーディネーター等を対象に、研修を実施しているところでございます。

また、研修の成果につきましては、研修を受けた教員が学校に戻って他の教員に研修内容を伝える校内研修を実施しているほか、対象児童・生徒に対する個別指導計画の作成にも活かしているところでございます。

今後更に、すべての教員を対象に計画的に研修を実施し、発達障害等に関する理解を深め、指導力を高めるなど資質の向上を図ってまいります。

次に、特別支援教育の4つの柱についてでございます。

校内委員会の設置や特別支援教育コーディネーターの指名など学校における支援体制の整備につきましては、既に取り組みをはじめております。さらに、就学相談や教育相談におきましても、保健や福祉部門と連携を取りながら進めており、今後もより関係機関との連携を密にした取り組みを行ってまいります。

教育委員会といたしましては、この4つの柱を基本として、より具体的で積極的な対応を図ってまいりたいと考えておりますが、今後いろいろなご意見をいただいた上で、最終のまとめを行いたいと考えております。

次に、発達障害者の問題は教育委員会が中心となって行う必要があるということについてでございます。

軽度発達障害者の問題につきましては、就学前の幼児から中学校卒業後まで、ひいては成人にいたるまでの対象者について、保健、医療、福祉、教育などの分野で対応することが求められているところでございます。

教育委員会といたしましては、現時点では、区長部局を含め各関係課で組織した「総合発達支援体制庁内検討会」を核として、それぞれの所管が密接に連携しながら取り組んでいきたいと考えておりますが、その進捗の中で、ふさわしい中心となる所管につきましても、検討してまいります。